グッバイガール

 あの人は恋 私には恋
 誰も信じなくても だけど
 あの人は恋 私には恋
 あの人も信じないけど

 汚れてゆく雪のようです 女たちの心は
 汚れながら春になります 不埒でしょうか



 新年明けましておめでとうございます。
橘右近です。
まずはお約束の自己紹介。
本名,桜葉あかり。24歳。
職業,調香師。
某推理倶楽部の会員で,毎月の企画原稿に大泣きする毎日。

さて,今月のお題は?

NEW YEARなミステリ

勘弁してよ。なんで毎回毎回そんな難しいお題なの!?
新年早々事件が起こるの?
殺人事件が!? そんな縁起の悪い話書けません( ̄_ ̄メ)

「別に殺人じゃなくてもいいじゃん」
簡単に言ってくれるのはあたしの婚約者。
紹介しときましょう,念のため。
本名,保地笙悟。HNぽち。26歳。
あたしと同じ化粧品会社の営業マンで,同じ推理クラブ員。
純和風な男前で,性格はクールに見えるけど,実は・・・。

「年も暮れたっていうのに桜葉あかりはなんだって里帰りしないのか,とかな」
あんただって帰ってないじゃん。
「俺は今から電話するもん」
大の男が拗ねんなよ,かわいくないから。

突っ込むより先に受話器をとって電話をしてる。
「あ,俺。明日ヨメさん連れてかえるから」

って,おい!!

かっちゃんと受話器がおりて途方に暮れたあたしが(電話の向こうの誰かも)取り残された。
頼むよほんとに(#+_+)

翌朝,元日早々そっこーでスーツを買いに出かけるワタシがいましたとさ。号(┳◇┳)泣

さてさて,夜です。
笙悟の実家へお出かけします。
久々のスーツで激しく肩こりの予感。
おまけに何年ぶりかのスカートで足が冷えること冷えること。
「いやだよ〜,行きたくないよ〜( p_q) シクシク」
この後に及んでまだ嫌がるワタシもどうかと思うが,それでどくれっぱなしの笙悟もどうかと思います。
でもね,人間覚悟っていうものがいるのよ。


おっきな家でした。
コワイお母さんでした。
親子でケンカしてるみたいな会話を目の前でやられると,いくらあたしでも,ね。
おまけに争議のもとがあたし。保地家のヨメにふさわしくないって話だったもんだから胸が痛いね。
お父さんには会えませんでした。
「ごめん」
車の中で,笙悟に頭を撫でられた。
やめてよ,涙出ちゃうでしょ。
笙悟は悪くないんだし。
「パワフルなお母さんだね」
やっと言ったあたしの言葉に笙悟は酷くツラそうな顔をした。
そんな意味じゃないんだよ。他に言葉が見つからなくってさ。
でも,ちょっとへこむよね。
「1年の計は元旦にあり」なんて言葉もあるしさ。
ちょっと気力が尽きちゃった。

「デートしよっか」
思いついて言ってみる。
「海に行こうよ」
「寒いぞ」
いいよ,寒くても。あっためてくれるでしょ。
海なら多分誰もいないからさ。

近くの海にそのままドライブして,寒さをこらえて波打ち際まで出て行く。
笙悟の大きなコートが肩からかけられた。
「ね」
海の向こうを見たまま,振り返らずに声をかける。
「やめよっか」
瞬間―――
背後からキツク抱きしめられた。
「いやだ」
「もっとイイ女はたくさんいるよ」
親に反対されるよりさ。
「逃げんのかよ」
「そうよ」
自信ないもの。
「泣くなよ」
泣いてなんかいないわ。潮風が目にしみただけ。
「誰が何を言っても,俺にとってのイイ女はあかりだけだよ」
キザなセリフ。
殺し文句よね。
「いいの?」
「いいよ」
簡単に応えが返ってくる。
「あかり,帰ろう」
うん,そうだね。あたしたちのうちに帰ろう。
まだちょっとブルーだけど。
ごめんね。すぐにもとの元気なあたしに戻るから。

 

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