真夜中の階段

怖い話?
そんなもの聞きたいの?
そりゃあ,夏はお化けの季節だしさ,気持ちはわからなくもないけど。
でも,そんな話あんまりしないほうがいいんじゃない?
なんでって?
寄ってくるから。
私見だけど,彼らは自分の存在を知って欲しいんだよ。
気付いて欲しい。
だからね,自分の話をしてくれてると思って寄ってくるの。
百物語,知ってるでしょ?
100本のろうそくを立てて100の話をするの。
話が終わるたびに1本ずつろうそくを消していって最後のろうそくが消えたとき・・・
何が起こるかは知らないけどね。
まわりで見えないものが聞いてるかもしれないよ。
それでも聞きたいの?



あるマンションがあるのよ。
そこの2階の部屋なんだけどね。
1週間以上,住んだ人がいないのよ。
みんな6日で出ていっちゃう。
理由,聞きたい?

真夜中の12時になるとね足音が聞こえてくるの。
ぱたぱたぱた,って小さな子どもの足音なんだけどね。
ほら,運動靴,あるじゃない?
あんな足音がするのよ。
部屋のすぐ近くでね。
そんな遅くになんで子どもが・・・,って思ってたらね。


「1段上ったうれしいな・・・」


って。
小さな男の子の声がね,すぐ耳元で聞こえるんだって。
その日,最初の日はそれでおしまい。
続き,聞きたい?
そう,しょうがないね。
次の日もね,同じ足音がして


「2段上ったうれしいな・・・」


毎晩1段づつ上がってくるそうよ。
怖いでしょ。
その部屋はね,階段を上りきった真向かいに玄関があるの。
この部屋みたい? そうね。
で,どうして6日で出ていくかって?
その階段はね全部で7段あるの。
7段上がると玄関のドアの前。
1階に住んでた男の子がその階段で遊んでて,6段目ですべって転んで死んじゃったとか,いろんなウワサはあったけど,ほんとのところは知らないわ。
上りきったらどうなるかって?
さあ? 6日以上住んでた人がいないからわからないわ。
男の子が部屋に入って来るかもしれないわね。

ずいぶん詳しいじゃないか,って?
気付かなかった?
この部屋の前にある階段。
全部で7段あるのよ。
もうすぐ真夜中よ。
ほら,聞こえない?
小さな子どもの足音。
今日? さあ,何日目かしら?
すぐにわかるわ。
言ったでしょ,こんな話,しないほうがいい,って。


「7段上ったうれしいな・・・」

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送