8月企画原稿
           怪談

 暑いですねー。まあ、夏だから、しょうがないんだけどさ。
 こう暑いと、やっぱ読むのは、ホラーかな。そう思って、岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』が文庫になったから買ったんだけど、あいにく読む暇がない。暑さが、余計に身に沁みる、今日この頃。
 愚痴は、ひとまず、よっこらしょと置いときまして。
 夏に怪談ってのは、日本に限ってのことらしいね。英国辺りでは、幽霊譚は冬のものだという話。それも、いいよね。凍えそうな冬の夜に、ぬくぬくと毛布にでもくるまって、アツアツのココアなんか啜りながら、コワイ話を読む。うん、楽しそうだ。
 日本で怪談が夏の風物詩になってるのは、蒸し暑いから、気分だけでも涼しくなろうってことだろうけど、やっぱり、あの日本の幽霊独特のコスチュームが原因なんだろうな。真冬に、あの薄っぺらい経帷子一枚で出てこられた日には、見ている方が寒くって仕方がないもん。でも、思えば勝手な話かも。幽霊は、寒さなんか感じやしないんだから、見る方の都合で、出るのは夏だけにしてくれって言われてもね。そう言えば、因縁話によく登場する鎧武者。あれなんかは、夏に出られると、すごく暑苦しい気がする。ますます余計なお世話か。
 時々ミステリで、人が不可解な状況で殺されて、「なんちゃらの祟りだわ!」なんて騒いで、そのせいにしようとするのがあるけど、あれって、どうかと思う。いかに、そうとしか思えないような状況でも、警察が、それで納得して、捜査を終了するわけないんだから。かといって、最後には、きちんとした説明がなされるのだろうと読み進めていたら、けっきょく事件の真相は、本当に超常現象の所為でしたー、なんてことにされたら、怒る。いくら私でも、投げるね、本を。それぐらいなら、犯行現場を密室にしたのは、密室にしたかったからで、特に意味はなかった、とでもいう方が、まだ、マシってもんでしょう。
 さて、ここまで読んできたからには、もう、おわかりですね。そう、今月のテーマは“オカルト”です。どうぞ、寝苦しい夏の夜に御活用下さいませ。
 ただ、百物語の例もあるように、そういう話ばかり集めると、ホンモノも寄ってくるとか、こないとか。くれぐれも、背後にはお気をつけあそばしまして……。

words by 歌遊

かいたひと たいとる
上州屋 とりあえず,お化けと殺人事件
今里 浩紀 時給500円の名探偵
「名探偵の怪談」

悪代官

真夜中の階段

 

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